Endek ウンドゥッ

アジアンテイストが魅力のバリの絣織り”ウンドゥッ”

多民族国家のインドネシア。それらの民族の女性たちは、簡単な構造の腰機(こしばた)を使い、それぞれの民族の特徴を持つ、優れた染織品を生みだしてきた。特に絣(かすり)はインドネシアの染織において重要な位置をしめている。
絣は織物に模様をあらわす防染技法の一種。布を織るための糸の束の特定な部分を紐などできつく縛ることで防染して糸を染め、その後、縛っていた紐をほどいて、布に織りあげると模様となる。
インドネシアには「絣」を意味する土着の言葉があり、バリ島では主に「ウンドゥッendek」と呼ばれている。「イカット ikat」という言葉は、今日では「絣」を意味することばとして一般的だが、本来はインドネシア語で「括る」「縛る」を意味する。
 絣織りには、経糸にのみ模様を染めておく経絣(たてがすり)、緯糸のみに模様を染めておく緯絣(よこがすり)、経糸と緯糸に同じ模様を染めておく経緯絣(たてよこがすり)がある。市場などで一般的に売られているのは、主に緯絣であり、この緯絣がウンドゥッと呼ばれていて、今でも生活に欠かせない身近な布として活躍している。また、バリ島東部のバリアガ(バリ先住民族)で知られるトゥガナン村では、高度な技術を要する経緯絣(ダブルイカット)が織られている。この布は魔除けの布として代々受け継がれたりする貴重な布で、時間も工程も驚くほどかかるため、高級な布として一目おかれている。
ウンドゥッは、腰布としてはもちろん、制服やインテリアのファブリック、バッグなどのファッションアクセサリーにと大活躍している。